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学内実習

 まず、私たちは看護介入を実践するために必要な基本的な知識と技能について、講義と学内実習で学びます。自分で身動きのできない患者さんの体位変換やセルフケア(入浴や清拭、洗髪、更衣など)、患者さんの状態把握の方法(血圧や脈、呼吸音など)、注射や鑷子(せっし:ピンセットのようなもの)などの医療用具の扱い方などについて学びました。

 この学内実習では、まだ患者さんを対象に看護介入を実践することができないので、学生同士で看護者/患者の役を分担して演習しました。男である私たちも基本的には女子学生の中に混じって実習しました(清拭や陰部洗浄などは別でした)。そのため、例えば寝たきり患者さんの体位変換などを演習するとき、女子学生を抱きかかえるようなこともあって…やり難かったことを覚えています。「男同士で実習させてくれたら良いのに…」とも思ったのですが、実際の患者さんでは、男でも女でも関係なく受け持つ訳でして…私たちが乗り越えなければならないことなのでしょうね。

 学内実習で最も辛かったこと…それは「立っている」ことでした。講義2時限分をまとめて実習に当てていたので、3時間ほど立ちっぱなしという状態…教官からの説明を聞くだけという時間も結構多かったりしたのですが、ベッドに座ることも許されず…実習が終わる頃には足が半ば棒になっていました。そのため、患者役としてベッドに寝転べる時間は天国でしたね(笑)。

 また、学内実習には実技試験なんてものがあったりして…これも学生を患者に見立てて看護介入を実践するというものだったのですが、ものすごく緊張して憂鬱なものでした。患者さんへの挨拶から始まって、指示された看護介入を実践していく…その過程すべてをチェックされるという具合でした。ベッドの高さを変えるのに患者さんに声かけを忘れる…これだけでも命取りという感じで、逃げ出したくなるくらい緊張しました。でも、再試験も用意してもらっていたので、結局は全員が合格できるというものでした。ちなみに私の場合、3回くらいやり直した気がします(汗)。

基礎看護実習A

 「基礎看護実習A」は、学内実習で基本的な知識や技術について学ぶよりも先に行われた先制パンチのような実習でした。1年次の秋休みに1週間かけて実施されたものなのですが、“看護活動の実際に触れることを通して、看護専門職者としての自覚を促し、今後の専門科目履修の動機づけとなることをねらいとしている”ということでした。

 実際には何をしたのかと言えば…病院や特別養護老人ホーム、障害児施設などいくつかの施設に分かれ、見学実習をしました。その後、「分かち合い」と呼ばれる学生間の話し合いが行われ、それぞれの学生が学んだことを共有しました。実際に見学実習をしたのは3日間だけだったのですが、相当に疲れ果てました…。

 私は特別養護老人ホームへ行きました。見学実習という話だったのに、実際には全く違っていて…まるでホームヘルパーの実習のように雑用ばかりをさせられました。掃除やらシーツ交換やら…「これはナースの仕事ではないぞ」と思いつつ、指示されるので仕方なくやっていました。ただ…ベランダの掃除を頼まれたときは、さすがに頭にきました。なぜなら、ベランダには入所者も他のスタッフも誰もいないのですから…何も見学することがなく、ただ掃除することしかできません。このときは、スタッフに聞こえないのを良いことに、一緒にベランダ掃除を頼まれた子と愚痴を言いまくっていました。

 ただ、今までは特別養護老人ホームというところを全く知らなかったのに、今回の実習でどういうところなのかは分かった気がします。もっと暗く寂しいところかと思っていれば、意外に入所者の明るい顔を見ることもできました(もちろん暗い顔の人も大勢いますが)。また、オムツをしている入所者にはセンサーがつけられていて、オシッコをしたら廊下にあるランプが点灯してスタッフに知らせる…なんて仕掛けも知ることができました。

 体力的にはものすごくハードで、それに見合うだけの学びがあったかと言えば疑問ですし、どう考えても看護の実習とは思えないのですが、一応、何も学べなかった訳ではない実習でした。もう行きたくはないですけど(汗)。

看護診断実習A

 「看護診断実習A」は、私たちが初めて実際に患者さんと接することになった実習で、学内実習も一通り終了した2年次後期に毎週1回だけ実施されました。学生2名に対して1人の患者さんを割り当てられ、“看護学生らしいマナーと態度を身につけることを目的とする”ということで、患者さんの話を聞くことに主眼が置かれていました。

 初めて患者さんと接する…ということで、実習が始まる前は緊張しまくりでしたが、実際に実習が始まってみると何でもない実習でした。患者さんのところへ行き、自己紹介と実習の説明をし、後は座ってひたすら話を聞くだけ。一応、バイタルサイン(体温、血圧、脈)の測定は義務付けられていましたが、他に何の処置がある訳でもなく、ただ話を聞くだけでした。特に学生2人1組ということもあって、お互いに助け合って話を進めていけば良い訳で、慣れてくるとかなり気楽なものでした。

 私は脳神経外科で実習しました。脳神経外科なので、言語的コミュニケーションに障害のある方が多いかと思いきや、私たちに受け持たせてもらえるのは症状の軽い人ばかり…ほぼ問題なく会話ができました。ただ唯一、一人だけ多弁な患者さんがいらっしゃいました。この患者さんと話をしていると、必ず患者さんペースの会話になってしまい、こちらが必要とする情報はなかなか得られないという感じでした。でも、そのように患者さんペースで話をしてもらうことで、逆に患者さんの中で何が大きな思いとして存在するのかが分かったり、何でもない雑談と思えることに実は重要な情報が含まれていたり…。

 今回の実習では、患者さんと接することを学びました。ただの雑談だけの実習と思ったら大間違いで、まずは患者さんと接する楽しさと言うか、最初は患者さんと接することに対して緊張や不安でいっぱいだったのに、その“患者さんから逃げたい”という気持ちを取り除いてくれました。また、患者さんから話を聞くためには、話を聞こうとしてはダメだと感じました。例えば、患者さんに対し、いきなり「自分の病気についてどう考えていますか?」と聞いたところで、相手を困らせるだけで期待するような答えは返ってきません。一方的に話を聞くのではなく、普通に雑談していく中で、患者さんの思いや自分の得たい情報を聞き取っていく技術が必要なのだと感じました。

 …と言うことで、特に看護技術を習った訳でもないのですが、これからの臨地実習に向けて良いステップとなった実習だと思います。

基礎看護実習B

 「基礎看護実習B」は、主に看護技術を学ぶ実習で、3年次前期に毎週1回だけ実施されました。普通、看護実習と言うと患者さんを受け持つものだと思うのですが、今回の実習は違っていて、一人の看護師さんに対して一人の学生がつく…というスタイルでした。

 実習中、看護師に付いてケアを見学したり、実際に実践したりします。今までは学生同士でしか看護介入を実践したことがなかったので、初めて患者さんに介入するということが物凄く恐くて不安で、「もし医療事故なんて起こしたら…」と逃げ出したくてたまらない気持ちでした。実習が始まる前、更衣室で友達と「どうしよう、どうしよう」と騒いでいたのをよく覚えています。

 実際に実習に臨んでみると…難しいことは見学のみで、洗髪や清拭、足浴などの患者さんにとって危険の少ないケアのみ実践させてもらえました。それでも技術に自信のない私には恐くて恐くて…洗髪のとき、患者さんから「もっとゴシゴシやってくれて良いよ」と何度も言われたのが、私の怯えぶりをよく表れていると言うか何と言うか…(汗)。

 でも、担当してくれた看護師さんはみんな良い人ばかりで、噂に聞いていた「怒られる」とか「苛められる」とかいうことはなく、「分からないことはこれから学べばと良い」という感じで、ちゃんと教えてくれました。他の看護学校の人に聞くと、今でも恐い看護師さんが大勢いるらしく、私はこのとき初めて、今の大学に入って良かったと思うのでした(笑)。

看護診断実習B

 「看護診断実習B」は、初めて本格的に看護過程を展開させていく実習で、3年次後期に2週間ほど実施されました。看護過程というのは、看護ケアの提供を計画する一連のシステムのことで、基本的には情報収集、看護診断、計画、実施、評価の5段階のステップに分けられます。分かりやすく言えば、患者さんを受け持ち、問題を見つけ出し、それを改善させるための計画を立て、実施、評価していくということです。

 私はこの実習が実施されている間、体調不良で入院していたため、他の学生とは違うスケジュールで一人で実習しました。そのため、教官がよく関わってくれて、たくさんのことを教わることができて良かったと思いますが、他の学生よりも遅れているという焦りに苦しめられた実習でもありました。また、実習時間は朝8時から夕方5時までということで、通学に1時間を要する私は5時半に起きなければならなくて…体力的にもかなりきつかったです。

 実習中、私は老年科で、脳卒中後の障害(左半身麻痺など)がある男性の患者さんを受け持たせてもらいました。一緒に歩行練習をしたり、リハビリ室へ車椅子で護送したり、ベッドサイドでお話したり…初めて患者さんを受け持って実習するにしては、なかなか順調に信頼関係を築けたと思います。

 看護過程についても、教官がいろいろと教えてくれたということもありますが、順調に進めることができました。カンファレンス(話し合い)は、他の学生がいないために私と大学の教官と病棟主任の3人で…ということになってしまい、戸惑ってしまいましたが、おかげで詳しく説明してもらえたりして、看護過程の導入となる実習にしては、十分過ぎるほどの学びがありました。

 実習終了後、「看護診断学実習Bによって明らかになったわたしの課題とその対策」というテーマのレポートが課されました。自分の手元にもレポートが残っていたので、次ページで紹介したいと思います。

課題と対策

 私は、これまでの実習を通じて、自分の知識・技能の未熟さを痛感してきたが、中でも特に、コミュニケーションがうまく取れないということが問題であると感じていた。今回の実習では、看護計画を立てていくためにも患者さんの情報収集が重要であり、そのためにも患者さんから私の知りたい情報を聞き出すことの必要性を強く感じた。

 情報収集初日、緊張しながら患者さんのもとへ行き、話を伺おうとしたのだが、私は何もできなかった。ただ患者さんが話される趣味の話に相槌を打ちながら聞き入ることしかできず、患者さんのペースに流されているだけであった。後々の結果としては、ここで患者さんの話したい内容を好きなように話してもらったことから、重要な情報がいくつも得られたのは間違いないが、ここに問題があることも間違いない。と言うのは、私は情報収集という目的を持って傾聴していた訳ではないのである。何を聞いたら良いのか、何を話したらよいのか分からなかっただけなのである。そういう意味で、コミュニケーション技術がどうのとか、初対面で緊張していたからとかという次元ではなく、もしかしたら患者さんに興味がないのではないか?とも思える自分の言動に問題を感じる。

 看護をしていく上で患者さんと良好な信頼関係を築くことの重要性は言うまでもないが、そのためにはお互いの存在を意識できなければならないと思う。例えば、私が検温を行っていた時間に患者さんは「そろそろあの学生さんが来る時間だな。」と意識し、私は「そろそろ○○さんの検温の時間だな。」と意識する。大切なのは、患者さんの私への意識が“学生さん”ではなく、“あの学生さん”になることであり、逆に私の患者さんへの意識が“患者さん”ではなく、“○○さん”になることである。まずはそれがなければ、良好な信頼関係を築くことなどできないと思う。

 しかし、私は間違っていた。始めのうちは患者さんの名前すら覚えていなかったのである。疾患名は知っていても名前は知らない。顔や入院しているベッドは知っているが、名前は知らない。後から考えるとかなり不自然である。患者さんがどのような人であるのか、患者さんがなぜ苦しい入院生活を強いられているのか、患者さんの今の状態は…今までは…これからは…特に興味がなかったように思う。もちろんそのときは興味があるのかどうかを考えることもなかった訳だが、少なくとも情報が必要だから話を伺っていたように思う。

 ただ、情報収集を進めていく上で、次第に患者さんのことを理解できてくると、やっと患者さんに興味が沸いてきた。「この患者さんはこういう人だから、きっとこういうことを苦痛に感じているのではないかな?」などという考えが浮かび、それを確かめるための情報収集をする。そのように変わっていった。

 同じように、患者さんも最初のうちは自分の話しかせず、こちらが自分の話をしようとしても聞く耳を持たないという感じであったのが、徐々にこちらの話にも耳を傾けてくれるようになり、最終的には私に質問してくれるようになっていった。

 このように今回は患者さんとの距離を少しずつ詰めていくことで、その患者さんに興味が沸いてきたのだが、では、他の患者さんを新たに受け持つことになったら、果たして興味を持てるのか? それは分からない。と言うより、興味などは持とうと思って持てるものではないように思う。では、どうしたら良いのだろう? それは、その患者さんの中に興味の持てる部分を見つけることだと思う。「患者さんに興味を持とう、持とう…」とか、逆に「患者さんに興味を持ってもらおう…」とか、そんなことばかりに捕らわれていては、得られる情報も得られなくなってしまう。もちろん意識することも大切だが、自然な関わりの中で理解し、理解されたい気持ちを見つけていく努力が必要だと思う。

 また、インフォームド・コンセントについても苦労した。具体的に何を苦労したかと言えば、先生が近くいることによる依存心と、失敗できないというプレッシャーにである。どちらも看護技術・知識とは関係のないところであるかもしれないが、私にとっては大きな問題である。依存心にしても、失敗を恐れる気持ちにしろ、様々な場面で私にできることを狭めている。これらの対策としては、経験を積み、自分でできる自信を身につけていくこと、そして、そのような経験をできる機会を自分で作ろうとする積極性を持つことが大切であると思う。


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