ホーム > 実習奮闘記 > 急性看護実習


カテゴリ一覧
基礎看護実習
訪問看護実習
慢性看護実習
母性看護実習
保育園実習
急性看護実習
実習の概要
実習を通して
患者とのすれ違い
トイレの中
手術の雰囲気
食道発声
保健所実習
小児看護実習
精神看護実習

実習の概要

 急性期看護実習は、外科病棟で手術を受ける患者さんを受け持ち、周手術期の看護を学んでいくという実習で、大学附属病院で行われました。実習期間は4週間となっていましたが、実際に患者さんと関わることができるのは3週間のみでした。

 実習の流れとしては、まず初日にオリエンテーションと技術実習、2日目は各自で事前学習、3日目は手術や麻酔についてのビデオ学習、4日目はICUと手術室(術中を含む)の見学をしました。その後は実際に病棟で患者さんを受け持って看護過程を展開していく…という具合でした。

 この実習では、受け持ちできる患者さんが少ないこともあって、基本的に学生二人一組で一人の患者さんを受け持つという形になっていました。受け持たせて頂く患者さんは、実習期間中に手術を予定している患者さんで、実習がない日に手術が行われるなどの特別な理由がない限り、手術の際には手術室に入って見学させて頂きました。

 また、病棟実習の1週目の最終日(基本的に金曜日)と最終一日前にカンファレンスと呼ばれる話し合いが設けられました。このカンファレンスでは、自分がどのような患者さんを受け持ち、どのような看護をしているのかを互いに発表し合い、意見交換をしました。それから、実習最終日には実習担当の主任さんと指導教官と3人での面接がありました。

実習を通して

 この実習は、私にとって最も辛い実習でした。まず、自分が入院していたために実習期間がずれてしまい、正規ではない他のグループに入れてもらっての、いわば「飛び入り」での実習なので、周りのみんなとうまく打ち解けることができませんでした。その上、じゃんけんで負けてしまったものだからリーダーなんて鬱陶しい役柄まで付いてきて…始まる前から憂鬱な感じでした。

 そもそも私は、急性期看護にはあまり魅力を感じていません。なぜなら、人を支える看護というより、人を観察する看護という感じがするからです。術後に合併症が起きないように、起きたらできるだけ早く発見できるように状態を観察することも大切だと思いますが、私がしたい看護とはかなり違っているのです。そんなこともあって、正直、時間が過ぎるのを待つだけという感じの実習でした。看護計画を立案したのも、病棟実習最終日の2日前くらい?自分でも言うのも何ですが、よく落とされなかったなと思います。

患者とのすれ違い

 今回の実習で私が受け持つことになった患者さん…肝細胞がんの71歳の男性でした。受け持つ前から主任さんが「学生が付くことに渋々OKはもらったけど…」と言っていたので、どんな感じの人だろうと心配しながら紹介を受けたのですが…何だか私には全く興味がないというような態度。まだ初対面だからかな?とも思ったのですが…正直、かなり遣りにくいそうな感じでした。

 病棟実習2日目の朝、患者さんのところへ行き、「おはようございます。今日も一日よろしくお願いします。」と挨拶すると、ちょこっとだけ私の方を見た後、プイッと横を向かれてしまいました。かなりショックでした…。もうどうしたら良いのか分からなくなり、病棟主任に相談してみたら、一緒に清拭などをしてもらえ、何とか患者さんのところへ行くことはできたのですが…困ってしまいました。
 午後、患者さんが胃カメラの検査を受けるということで、一緒に付いていきました。私の方からは何も話すことができず、ただ隣でボーっとしていたのですが、なんと患者さんの方から話し掛けてきてくれました。かなり嬉しかったです。これで、ちょっとだけ「何とかなるかな?」という気分になれました。

 しかし、その後もいまいち患者さんとは良い関係を築くことができず、次第に足が遠のいてしまいました。通常、二人一組で受け持つ実習なのですが、実習メンバー7人ということで、私だけは一人で一人の患者さんを受け持つことになってしまい、相談する相手もいなくて…結局、最後まで良好と言えるような関係を築くことができませんでした。

 実習が終わってから、実習担当の教官から「患者さんはあなたのためを思って、わざと素っ気なくしていたみたいだよ」ということを聞きました。「何でも自分から話していては、学生の勉強にはならない」ってことらしいです。確かに、これまでの実習は患者さんの協力があって初めて成り立つ関係ではあったと思いますが…それにしても、今回の実習はちょっと辛すぎでした。

トイレの中

 実習生が逃げ場としてよく利用する場所…それは、トイレの中と患者さんの部屋。基本的に、ナースステーション内は忙しそうにする看護師たちの邪魔になっていそうで居心地が悪く、学生の控え室は指導教官が鬱陶しくて居心地が悪いので、患者さんのところにいるのが最も安心できる。そのため、学生たちは意味もなく患者さんのところへ行き、雑談をする。

 しかし、今回の実習では前項でも書いたように、私は患者さんのところへ行くことが難しかった。必要最低限…どころか、必要なだけも訪室することができずにいたように思う。そんな私の逃げ場はトイレの中。私だけ男ということもあり、ナースステーション内のトイレではなく、患者さん用のトイレを利用していた。それも幸いして(?)私は精神的に追い込まれるとトイレにこもって時間を潰していた。患者用のトイレであれば、長らく出てこなくても誰に指摘されることもない。私には最も安心できるところでした。

 今回の実習は、逃げに逃げた実習でした。患者さんからは逃げ、指導教官からは逃げ…実習グループにも飛び入り参加の私は、誰も頼る相手がいませんでした。教官はそんな私を心配するどころか、支えるどころか、できていないことを指摘するばかり。指摘されてできるくらいなら、最初からやってるわって感じ。できないからやっていないんだってことを分かって欲しかったなぁ。

手術の雰囲気

 医療関係者でなければ、手術を見学する機会なんてないでしょう。私は自分が手術を受けた経験は何度もあるのですが、まともに見学するのは初めてのことでした。

 これまで手術と言うとTVドラマや映画などで見たときのイメージしかなく、もっと多くのスタッフが緊迫した空間の中でひたすら手術をするものだと思い込んでいたのですが、実際の手術は、そのイメージとはかなり違っていて驚きました。

 まず、音楽が流れているということに一番、驚かされました。スタッフが(場合によっては患者さんも)リラックスするためということでしたが、確かにその音楽があるおかげで、手術室の雰囲気はかなりリラックスした感じになっているように感じました。ただ、途中でスタッフ間での雑談なども聞かれて、違う意味でも少し驚きました。

…と、ここで、自分の患者体験を思い出しました。自分が硬膜外麻酔下での手術を受けたとき、私を手術室へ搬送するときの看護師2人が雑談をして笑っていました。それを聞いて、私は「自分はこんなに不安な気持ちで、これから手術を受けようとしているのに、よくこの人たちは笑っていられるなぁ?」と、イライラしたことを覚えています。手術室に入ってからも、患者である私を抛っておいて、スタッフ同士でばかり話をされて、少し不快な気分になりました。やはり、患者の意識がある場合には、そういう点にも気をつけていかなければならないと再認識しました。

 ちなみに、見学させて頂いた手術は腹腔鏡下の手術1件と、受け持ち患者の肝細胞がんの開腹手術1件。電気メスを使った手術だったので、生まれて初めて人間の焼ける臭いというものを体験しました。うわさ通り何とも言えない臭いでしたね…。

食道発声

 急性期実習の一環として、休日のはずの土曜日に「名声会」と呼ばれる咽頭摘出手術を受けた人たちの食道発声練習の場に参加しました。

 まず、驚くのは食道からの発声でも意外に聞き取れるということでした。食道からの発声ですから、いわばゲップで声を出すようなものです。もちろん咽頭で話すのと全く同じようにとはいきませんが、うまい人が話しているのを聞くと、こういう声の人なのかな?と自然に思えることもありました。

 また、咽頭を失うことで、口腔内に空気の流れを作ることができなくなってしまうということも、私にとっては意外でした。スープなどを吸えない、熱い食べ物を冷ましながら食べることができない、臭いが分からない…など、咽頭を摘出することで、咽頭に関係ないと思われるようなことにまで影響が出るということは意外でした。

 最後に、うまく声を出せない人たちが必死に声を出そうとする姿は、同じように咽頭摘出で声を失った人たちを強く勇気づけるのだろうなと思いました。直接的な関係のない私たちでも、希望を捨てずに頑張ることの素晴らしさを再認識させられた気がします。


- Mobile Frontier v2.1 -