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確信犯

 私は、今回の実習を通してようやく“インフォームド・コンセント”というもの、特にその意義について理解することができました。少し暴走したようにも思いますが、私は間違ったことをした覚えはなく、それどころか、誇りにすら思っています。

 今回の実習では、他の実習とは比べものにならないほどに徹底してインフォームド・コンセントが重視されていました…と言うのも、二段階のインフォームド・コンセントが義務づけられていたのです。

 まず、一段階目のインフォームド・コンセントとして、患者さんの状態を説明しました。「今まで何日間か受け持たさせて頂いて、あなたは今、このような状態にあって、このようなことで困っているのではないかと感じました」ということを患者さんにも分かるように(専門用語をできるだけ使わずに)説明しました。そして、こちらが思っている患者さんが困っていることと実際に患者さんが困っていることのギャップを埋められるようにしました。それから、その困っていることについて、どうしていきたいのかを患者さん自身に答えてもらいました。

 その後、患者さんの目標が達成できるように、私たちが看護計画というものを作成します。

 それから、二段階目のインフォームド・コンセントとして、看護計画を患者さんに説明しました。「以前、お話を伺ったとき、このようなことに困っていて、こうしていきたいとおっしゃっていたので、その目標を実現するための計画を私なりに考えてみました」という感じで、自分は患者さんに対して何をしていくつもりなのか、患者さんには何をしてもらいたいのかを説明し、同意を得ます。このとき、患者さんが「この計画で私の目標を達成できるとは思えない」というようなことを言われれば、もちろん計画を練り直しますことになります。

 このような二段階のインフォームド・コンセントを経て、やっと実際に患者さんに対して看護を実践することができました。急性期の患者さんにも同じ方式で対応できるとは思いませんが、この徹底したインフォームド・コンセントによって、患者さんと看護者とで目標を共有することができ、本当の意味で共に歩み、頑張ることができると痛感しました。私の理想とする看護と言えるものです。

 ただし、私は少し暴走してしまいました。まだ未熟な実習生である私たちは、実習指導をしてくれる主任さんに確認してもらったことだけを説明して良いとされていたのですが、私は勢いで余計なことまで説明してしまったのです。後から婦長さんに「そんなことまで言えちゃうなんて凄いね」なんて言われたのですが…私が説明したこと、それは…

 「治療方針を決めるのは患者さん自身です。だから、僕たちはインフォームド・コンセントといって、治療方針とかを説明して、患者さんから同意を得るってことをするんですけど、それはあくまで“同意”なんです。本当は、こういう治療がありますって、考えられる全ての治療法を紹介して、その利点とか危険性とか副作用とかも全て説明した上で、患者さん自身に治療法を“選択”してもらうべきだと思うんです。そして、中には『治療を受けない』という選択肢も、当然あるはずなんです。苦しい治療に耐えながら少しの延命を望むよりは、短くても自分の好きなように生きたい人もいて当然だと思いますから。だから、そういう選択肢も含めて、○○さんがどうしていきたいのかを決めて欲しいと思います。治療法で分からないこととかあったら、遠慮せずに聞いて下さい。そして、自分で考えて後悔しないように治療方針を選択して下さい。」ということでした。

 私は、ターミナルケア、特にホスピスに興味を持っていましたし、現在の患者さんは病気によって日常生活に支障がある訳でもなく、苦しい抗癌剤治療をしたとしても、余命は半年もないだろうと言われていたので…残りの人生を闘病にかけるのか、自分らしく楽しい余生を過ごすのか…後悔しないように選択してもらいたかったのです。

 結局、患者さんは闘病を選択しました。しかし、私の患者さんは、いろいろな選択肢があると知った上で治療方針を選択したのですから、良かったと思います。



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