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看護学生の実態?

2000/10/27(Fri)

 大学に入る前、男である私は、看護の道へ進むことについて相当に迷いました。そして、高校生の頃は、看護の道へ進むことをずっと隠していました。自分で決めた進路なのに情けないことだけど、

 「男なのに看護なんて言ったら、どんなふうに思われるだろう…」

という気持ちが強くて...親にさえ、担任の先生との三者面談まで内緒にしていたほどです。



 私をこのように悩ませた看護という道…それでも他の道へ進むという考えは浮かんできませんでした。それはなぜだろう?と考えると、『看護への期待』というものが大きかったためだという理由が浮かんできます。それだけ看護というものに魅力を感じていた訳ですね。

 では、具体的にはどのようなことに期待していたのか? それは“人間性”です。大学に入るまでは、「看護学校って言うと、自ら望んで苦しい看護の道に進もうとする人たちが集まってくるんだから、きっと素敵な人がたくさんいるんだろうな。」と考えていました。

 そして、そのような素敵な人々と共に学んでいくことで良い刺激を受け、自分も同じように成長できるのではないか?…と期待していたのです。

 しかし、実際に大学に入ってみると…



 まず、一番最初にショックを受けたのが、オリエンテーション合宿からの帰り道に起こった出来事。

 一泊二日で行われたオリエンテーション合宿からの帰り、友達と電車に乗っていました。しばらくすると、サングラスをかけ、杖を持った男性が電車に乗り込んできました。その電車は全席指定だったので、その男性も予約された席があるはずなのですが、ずっとウロウロしています…

 「目が見えないから自分の席が分からないんだろうな。」と思った私は、隣に座っていた友人に、

 「あの人、自分の席が分からないんじゃない?」

と話し掛けました。すると、その友人は面倒そうに「あぁ、そうじゃない?」と返答するだけ…

 私としては、当然、「あぁ、そうみたいだね。じゃあ、ちょっと行ってみようか?」みたいな感じになると思っていたのですが…席が分からなくて困っている人がいることを知りながら、そのまま見て見ぬフリをするとは…本当に信じられませんでした。

 とは言え、私もその後、一人で話し掛けに行くこともできず、「どうしよう…」と悩んでいるだけでした。情けない限りです。私もその友人のことを責められる立場ではないのです…

 それから数分、次の駅に着くと、乗り込んできた人の中に、その目の不自由な男性に話し掛けている人を見ました。普通の人が当たり前のようにしていることが、看護を目指そうとする自分たちにできないとは…と、かなりショックを受けました。



 よく「看護は人の役に立つ仕事」と言われます。私自身、人の役に立てるようになりたいから看護を学びたいというのもあります。しかし…看護学生の中で、本当に心から人のために働きたいと思っている人はどれほどいるのでしょう…?

 同じ大学で学ぶ友人の中には、「本当は○○学部に行きたかったんだけど、行けないから仕方なく看護に…」と言う人がたくさんいます。 [行きたい学部が他にあるなら、意地でも、浪人してでも、その学部に行けるように頑張れよ。] と思うのは私だけでしょうか…?

 中には本当に看護が好きで、だけど学力が少し足りないために大学に入れない人もいるでしょう。そういう人を蹴落として自分が看護を勉強しているということを考えて欲しいものですね…

 学力もひとつの才能ですが、それは努力である程度はカバーできるものです。しかし、それ以上に大切で、努力ではカバーできない才能があると思います。それは、看護に対する思い入れ、看護が好きであるということです。

 果たして、うちの大学には、どれほどこの才能を持った人がいるでしょうね? 実は私も怪しいところなのですが…

トシ



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